(13)ミャンマー(ヤンゴン)
2022年9月30日、東京のスタジオにてダスキン研修生のウイさん(ミャンマー)にインタビューした内容を紹介します。
※本インタビューは、話者の主観で語られている部分があり、実情と異なる場合があります。予めご了承ください。
ウイさんへのインタビュー
研究員:おはようございます。日本へようこそ。私は中山です。サインネームは(あごに人差し指で2回当てる)こうです。外国手話研究部の担当をしています。あなたの名前を教えてください。
ウイ:私の名前はウイです。サインネームは(人差し指を曲げたまま額に当ててから人差し指を伸ばして口に当てる)こうです。
研究員:(サインネームの表現を確認している)こうですか。日本に来た目的は何ですか。
ウイ:目的は研修です。手話指導法を学びたいと思っています。
研究員:いつ日本に来ましたか。
ウイ:(2022年)5月6日です。
研究員:いつ帰国するのでしょうか。
ウイ:12月26日です。
研究員:滞在期間が長いですね。
ウイ:6カ月ですね。
研究員:日本での生活はどうですか。
ウイ:楽しいです。日本に来てびっくりしたことがあります。
研究員:びっくりしたことは何でしょうか。
ウイ:どこでもきれいです。遊ぶところもたくさんありますね。今まで家族で過ごし、家にいることが多かったのですが、日本に来てから一人で出かけるようになりました。そこでびっくりしたことがたくさんありました。電車や地下鉄に乗ったのは初めての経験でした。
研究員:電車の乗り方は慣れましたか。
ウイ:はい、慣れました。
研究員:さて、あなたの生い立ちについて聞きたいです。
ウイ:わかりました。
3歳の時、転んで怪我し、母が私のことを耳が聞こえないのではないかと気にして、病院に連れて行ってもらいました。しかし検査するのに5年かかると言われてあきらめ、父が友人に聾学校はどこにあるかと尋ね、ヤンゴン聾学校を紹介してもらいました。
両親と話し合った結果、3歳でヤンゴン聾学校に入りました。学び始めたのは4歳でしたが、遊びが多かったです。5歳になってから手話で勉強をしました。
ヤンゴン聾学校は小学部までなので、中学・高校は普通の学校に通いました。高校の勉強は難しく卒業しませんでした。
たまたま母と暮らしていて母が学校で相談したら、学校の先生になったらいいよと言われたらしいです。母に手話の先生になったらどうかと勧められて6年間働きました。
今回は研修のためお休みをお願いしました。
3歳の時、転んで怪我し、母が私のことを耳が聞こえないのではないかと気にして、病院に連れて行ってもらいました。しかし検査するのに5年かかると言われてあきらめ、父が友人に聾学校はどこにあるかと尋ね、ヤンゴン聾学校を紹介してもらいました。
両親と話し合った結果、3歳でヤンゴン聾学校に入りました。学び始めたのは4歳でしたが、遊びが多かったです。5歳になってから手話で勉強をしました。
ヤンゴン聾学校は小学部までなので、中学・高校は普通の学校に通いました。高校の勉強は難しく卒業しませんでした。
たまたま母と暮らしていて母が学校で相談したら、学校の先生になったらいいよと言われたらしいです。母に手話の先生になったらどうかと勧められて6年間働きました。
今回は研修のためお休みをお願いしました。
研究員:それで日本に来たのですね。わかりました。あなたの家族は、あなたと両親?
ウイ:妹とおばあさんとおじいさんとお母さんの夫(お父さんのこと)です。おじいさんとおばあさんは、近くに住んでいます。
研究員:ヤンゴンですか。
ウイ:いいえ、バアンです。(腕に利き手で3回叩きながら進む)
研究員:そうですか。ヤンゴンからどのくらいですか。
ウイ:バスで8時間くらいかかります。遠いので聾学校の寮で暮らして働いています。12月に帰省して1週間くらい過ごしてから戻ります。
研究員:ヤンゴン聾学校の寮ですか。寮で暮らす人が多いですか。
ウイ:はい、子どもと一緒です。
研究員:手話を教えているのですよね?
ウイ:はい、教えています。
研究員:ろうの子どもに手話を教えるのですか?
ウイ:はい、そうですが、年齢がまちまちです。どう教えたらいいか考えていました。
研究員:手話指導法を学ぶために日本に来たのですね。わかりました。
それからバアン、ヤンゴン、ミャンマーのろう社会の状況を知っていますか。ヤンゴンにはろう者は何人いるでしょうか。
それからバアン、ヤンゴン、ミャンマーのろう社会の状況を知っていますか。ヤンゴンにはろう者は何人いるでしょうか。
ウイ:わからないです。
研究員:ろう協会はありますか。
ウイ:はい、あります。詳しくはわかりませんが、ろう団体がいくつかあります。1つの団体になるよう話し合っていると聞いています。時間がかかると思います。
研究員:ミャンマーにはろう学校はいくつありますか。
ウイ:4つあります。ヤンゴンとマンダレーと(鼻の前でまぶすような表現をしてから開いた利き手で胸から離れたところに置く)と(頭にこぶしで2回当てる)です。
研究員:ちょっと待ってください。ヤンゴンとマンダレーとあと2つは、ゆっくりお願いします。
ウイ:(鼻の前でまぶすような表現をしてから開いた利き手で胸から離れたところに置く)は、ヤンゴンに近いところです。
研究員:わからないので地図で教えてください。もう一つは?
ウイ:(頭にこぶしで2回当てる)はここです。(地図を指す)
研究員:はい、4つですね。ヤンゴン聾学校の子どもは何人いますか。
ウイ:200人です。聴の先生は40人です。
研究員:ろうの先生は何人いますか。
ウイ:私一人です。前は2人でしたが、やめました。
研究員:ヤンゴン聾学校を卒業した子どもたちはどんな仕事をしていますか?
ウイ:小学部までなので卒業後、まだ決められないので親と暮らす人が多いです。料理の仕事に就いてから1年後断られた人もいます。給料が安くてやめた人もいます。それぞれいます。なので仕事に就くのが難しいと思います。
研究員:国からの支援はありますか。
ウイ:マンダレー聾学校は支援されています。ヤンゴン聾学校は私立なので寄付金をもらっています。
研究員:寄付金をもらっているのですね。大変ですね。
ウイ:給料のお金が足りないです。それは手話の仕事を選んだので仕方がないです。親にお願いしてお金を少しもらって自分の給料を合わせて食べていけます。
研究員:仕事が見つからないろう者が多いのが現状ですが、コミュニケーションが難しいからですか?
ウイ:文が書けないため就職できない人もいじめられてやめる人も多いです。ミャンマー語の文法がわからないので相手にうまく伝わりません。私も文がうまくないです。
研究員:ミャンマーの手話通訳者はいますか。
ウイ:少ないです。ほとんど聾学校の先生が通訳してくれます。手話通訳者がいますが、ヤンゴンにはいません。
研究員:ミャンマー全体ということは?
ウイ:ミャンマーの代表的な手話通訳者です。やめる人もいますが、通訳者は3~4人います。
研究員:手話通訳者を養成する場所はありますか。
ウイ:わかりません。
研究員:以前、ミャンマーのテレビで手話通訳者のワイプがありましたよね。
ウイ:はい、今はなくなりました。
研究員:残念ですね。
ウイ:なぜなくなったかいつかわかると思います。
研究員:そうですか。日本に来たのは、手話の指導方法を学んでいるのですね。日本とミャンマーとの違いに驚いたことは何ですか。
ウイ:(聾学校の)建物が広いし、子どもよりも先生の方がたくさんいたことです。1人対1人なので対応しやすいです。ミャンマーでは子どもが多くて教えるのが大変です。
研究員:そうですか。
ウイ:日本の聾学校では人工内耳を装着している子どもは指文字をよく使うので読み取れません。教室の様子を見学しましたが、子どもとのコミュニケーションはスムーズではないです。指導方法を学びましたが、ミャンマーで日本と同じように指導するのは無理です。学校の広さは国の支援でいいですね。
研究員:人工内耳を装着しているミャンマー人はいますか。
ウイ:はい、います。
研究員:口話だけ使用していますか。
ウイ:いいえ、3つのタイプがあります。手話を使う人、口話を使う人、聞こえだけ活用する人です。
研究員:ヤンゴン聾学校の中でですか。
ウイ:はい、そうです。
研究員:多いのはどれですか。
ウイ:手話を使う人と口話を使う人が多いです。聞こえだけ活用する人は20~30人位です。
研究員:わかりました。ありがとうございます。日本の聾学校で学んでミャンマーとの違いで収穫があったとは言えないですが、これからもまだ他のところで学ぶと思います。最大の目的は手話の指導方法ですか。
ウイ:はい、手話の本と動画を作ってインターネットで見てもらいたいのが一番です。(今はないので)残念に思いました。手話とミャンマー語が必要です。仕事でスムーズに筆談することができると思いますし、英語を学べば海外にも行けると思います。
研究員:ろう者は手話で話すのは問題ありませんが、文が苦手な人が多いですか。
ウイ:はい、文が得意なろう者が少ないです。簡単な言葉ならわかりますが、文を読める人がほとんどいません。
研究員:ミャンマーといえば仏教ですね。(寺院などに)手話ができる人がいますか。
ウイ:いません。キリスト教では手話通訳者がいます。
研究員:そうですか。仏教の中ではいないのですね。
ウイ:ミャンマー語がありますが、仏教の経典は読めません。キリスト教ではミャンマー語に訳しているので読めます。仏教の経典は聴者は読めますが、ろう者は手話に訳しても意味がわかりません。
研究員:ろう者は、仏教よりもキリスト教の方が多いですか。
ウイ:はい、手話を見ているのでわかりやすいからだと思います。
研究員:先ほどの続きになりますが、もう一度お願いします。ミャンマーでは聴者に対する手話指導はありますか?
ウイ:ないです。
研究員:ろう者がコミュニケーションに困った時は、聾学校の先生に依頼するのですか?
ウイ:はい、そうです。
研究員:手話通訳派遣のようなことは?
ウイ:ないです。自由に連絡をとる方法になります。
研究員:ミャンマー手話の歴史などについてお話いただくことはできますか?
ウイ:ミャンマー手話の歴史について、情報がありません。歴史、文化について聞いたことがなく、ただ手話を使っているだけです。論文など読む必要があると思いますが、読んでみても、イメージがわかず理解することができません。
研究員:日本には手話言語法(条例)のような法律が都道府県で採択されていますが、ミャンマーではいかがでしょう?
ウイ:わかりません。
研究員:ミャンマーには聾学校が4校ありますよね?手話は違うのでしょうか。
ウイ:はい、違います。
研究員:(手話を)統一するような動きはありますか?
ウイ:まだありません。
研究員:ろう者協会はいかがでしょうか?
ウイ:ヤンゴンにはあるけれども、他の地域にはないです。
研究員:テレビに手話通訳がワイプで入っていたけれども今はなくなりました?
ウイ:そうです。以前はありましたが、フェイスブックで、会員だけがアクセスできる情報が流れることがあるのでそこから情報を得ます。
研究員:テレビに手話通訳がないとろう者は情報を得ることが難しいですね、字幕は?
ウイ:字幕は少ないです。音声言語で話すので、ろう者が見ても情報がよくつかめません。
研究員:学校経歴は?
ウイ:小学校はヤンゴンの聾学校、中学校と高校は普通校に通い、聞こえる友達のノートを見せてもらって授業を受けました。
研究員:それは大変ですね。内容は半分くらいしか理解できない?
ウイ:そうです。内容はよく理解できず、半分くらいだったかと思います。
研究員:中学、高校はそれぞれ何年ですか。
ウイ:中学が3年、高校が2年です。
研究員:5年間も大変でしたね。その後、就職したのですか?
ウイ:就職はなかなか難しく、母とも相談し、手話を指導する仕事をしてはどうかと6年間手話指導の仕事をすることになりました。
研究員:他のろう者はどんな仕事に就いていますか?
ウイ:コック、理容師、洋裁の仕事などですね。あとケーキ屋で仕事をする人もいました。ただ、コロナが広まり、お店が閉鎖され、仕事は辞めて両親と一緒に住むようになったろう者が多いです。
研究員:それは、大変ですね。聴者も仕事の壁にぶつかる面では同じでしょうか?
ウイ:そうですね。同じだと思います。
研究員:ミャンマーには4つの地域がありますね、交流はありますか?
ウイ:ないです。
研究員:日本の場合は、全国集会、スポーツ大会などのイベントがありますが、ミャンマーではどうですか?
ウイ:ないですね。選挙活動や、家庭内で虐待などの問題があった時のサポートなどありますが、交流というのはないです。
研究員:ろう者同士でも結婚している人はいますか?生活は大丈夫でしょうか?
ウイ:います。自立できる夫婦もいれば家族と一緒に生活している夫婦もいます。
研究員:ミャンマーでは手話の研究などは進んでいますか?
ウイ:香港で言語学を学んでミャンマーに戻り、研究した内容を発行する準備をしているようですが、まだです。詳しくはわかりませんが。
研究員:手話指導をしていますよね。そのための教材についてなども研究が必要ですね。
ウイ:そうです。まだ教材もきちんとしたものがないし、自分の手話表現を撮って資料を作るなどの作業もまだ進んでいません。本当は大人に教えたいのですが、今は子ども対象だけです。オンラインでしかも夜になるので疲れてしまいます。
研究員:将来的には大人に手話を教えたいのですか?
ウイ:はい、そうです。
研究員:ミャンマーの話はこのあたりにして、日本に来てからのことを伺います。ミャンマーとの違いもあり、カルチャーショックも受けたのではないかと思いますが、いかがですか?
ウイ:そうですね。日本とミャンマーはいろいろと生活の仕方も違うと思いました。例えば、日本は他の人を「待つ」という文化が強いように感じました。日本人が家に来て、帰る時は他の人を待ってから一緒に帰る、食べる時も、他の人がくるまで待つ、という「待つ」文化が強いです。
研究員:日本食は合いますか?
ウイ:はい、合うものもあれば、食べられないものもあるので、食べられないものは友達に食べてもらいます。豚肉は食べられません。あと花見なども楽しみです。
4月とか5月だと花見ができると思いますが、今は9月なので、紅葉を楽しみたいと思います。
4月とか5月だと花見ができると思いますが、今は9月なので、紅葉を楽しみたいと思います。
研究員:ミャンマーには障害者手帳の制度はありますか?
ウイ:ないです。列車など半額になるようなことはありません。
研究員:日本では、手帳が交付され、列車などの割引が可能です。ミャンマーでもそのような制度ができると良いですね。今日はありがとうございました。